2013年2月27日水曜日

例文執筆の際のこだわり

普段,わたしが「会話用の例文」「話し言葉」を書くときにこだわっていることの一つ。

とにかく,実用的であること。実際の場面で,その例文がそのまま使えること。

例えば,try onという熟語の例文作成では,

Can I try this shirt on?「このシャツを試着してもいいですか」

ではなく,

Can I try this on?「これを試着してもいいですか」

とします。

ぱっと見て,わかりにくいかもしれません。 this って唐突に何よ? と。
でも,
実際,店内で店員にこう尋ねるときは,シャツを手に持っていると想像され,つまり試着するのは(帽子でもセーターでもなく)シャツであることは明らかなので,普通はわざわざ「このシャツを」とは言わないですよね。

書き言葉なら,try a shirt onでも全く構わないんです。こんな比較はどうでしょう。あるストーリーの一部と仮定します。

Linda went into the shop and looked around.  She wanted to try a shirt on, so she asked the shop assistant, "Can I try this on?"

「発話」の部分ではやっぱりtry this onになりますね。


話し言葉を書くときは,常にその文を使う場面を頭に浮かべながら書いています。当然と言えば当然ですが,「この英文はいつ,どこで,どんな状況で言うの?」と言いたくなる英文に出くわすことが多いのも事実です。


最近の単語集や会話集はCDがついていて,音読練習ができるようになっているので,Can I try this on? / Can I try these on?と何度も声に出して練習することによって,実際の場面で(頭で考えずに)スラっと口から出てくるといいな,思います。

現在,5月初旬に刊行予定の単語集の作業真っ直中です。乞うご期待!

2013年2月26日火曜日

英語の「時」の感覚

日本人が書きがちな英文から,ネイティブスピーカーの「時」の感覚を身につけてみます。

「試合の前に昼食をとりましょうよ」と言いたいとき。

Let’s have lunch before the game.

と書く人が多いようです。

ですが,ネイティブチェックでは

Let’s have lunch before the game starts.

と直されます。
つまり,昼食をとるのは「試合が始まる前」であって,before the gameだと曖昧なんですね。the gameだけだと,試合の行われる時間(ずっと)ということになってしまいます。

「彼女が試験に落ちたとき私は彼女を励ましました」はどうでしょう?
直訳すると,

I comforted her when she failed the test.

ですね。

しかし,繊細なネイティブはこう直します。
I comforted her after she failed the test.

つまり,日本語では「あと」よりも「とき」が断然しっくりきますが,励ますのは試験に失敗した「後」のはず。

以下,このときのチェッカーの補足です。

"when" vs. "after"
Actually, a lot of native speakers use them somewhat interchangeably--sometimes it sounds awkward, sometimes not.
So in honesty, if you say for example "When she failed the test, I comforted her." / "I comforted her when she failed the test" it doesn't sound strange. It would make sense. Any native speaker would know that the sense is "AFTER she found out she failed the test . . ." (not the "exact moment" that she failed it).

英語の「時」の感覚はとても理論的なんだな~と思う瞬間です。

2013年2月6日水曜日

「海へ行く」の表現

前のブログでも取り上げたネタですが、日本人は「海へ行く」という言い方をよくするので、

go to the sea

という表現をしがちです。しかし、英語的には


go to the beach
または
swim in the sea
なんです。

すると、今回はこんなコメントが入りました。前後の文脈はありません。米人です。

Did you swim in the sea?「海で泳ぎましたか」

This is perfectly fine, but I personally prefer “ocean”. Or, I might say “Did you go swimming at the beach?”

さあ、日本人にはgo swimming at the beachという表現がさっと出てくるでしょうか。簡単な単語ですが、奥が深いですね。

2013年1月10日木曜日

「頻度」と「回数」は異なる

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

帰国後、いまだバタバタしており、なかなか大型書店で教材・参考書のコーナーをブラウジングする余裕がないのですが、最近ではもっぱら「英語やりなおし」(特に中学英語)や「日本人のおかしな英語」がテーマの教材が流行っているようですね。

昨年は高校英語や英検のお仕事が多かったのですが、今年は世間一般のニーズも調査しつつ、本当に役に立つ教材作りをしていきたいと思います。


さて、昨年何回か目にした気になる「公式」より。

How often ?How many times ?

前者は「頻度」、後者は「回数」をたずねる表現で、イコール(置き換え可)ではないです。

たとえば、
How often do you go to the library? – Once a week.
では、once a week(週に1回)が「頻度」を表し、「回数」はonceの部分ですから、
How often do you go to the library?How many times do you go to the library?とはなりません。

つまり、回数をたずねるなら、
How many times a week do you go to the library?のようになるはずです。

こんな問題にも影響します。

下線部をたずねる文を書け。
I go to the library once a week.

答え:How often do you go to the library?

How many times do you go to the library?は×です。日本語で考えても「図書館へは何回行きますか」では情報不足です。

下線部がI go to the library once a week.だと、答えはHow many times a week do you go to the library?ですね。
onceのみの下線のタイプはあまり見かけませんが(tricky!)、こういう理屈だと思います。

2012年12月17日月曜日

冗長な(redundant)表現:bandほか

早速ですが、redundantな他の具体例を挙げてみます。紫字はネイティブチェッカーのコメントです。

1.
I joined a music band at high school.

 ↓

I joined a music band at high school.

A “music band” sounds redundant. (Most bands are involved with music).


2.
You say you play the flute, but we don’t have a music band. We only have a guitar club.

 ↓

You say you play the flute, but we don’t have a music band. We only have a guitar club.

‘Music band’ -> ‘band’ as ‘music’ is redundant.


3.
They defended for the rest of the game and won the victory.

 ↓

They defended for the rest of the game and won the victory.

You could probably delete “the victory”. Seems redundant (a victory = win).


4.単語レベルではなくこんな表現レベルも。
This is one of the traditional Japanese clothes made in Japan.

 ↓

This is traditional Japanese clothing. –OR– This is traditional clothing made in Japan.

“Japanese ... made in Japan” sounds a little redundant.

冗長な(redundant)表現:wave

ネイティブチェックで、修正理由としてredundantとあると、表現が冗長だからということです。

実際によく見る日本人の英文から一つ例を見てみましょう。

When I saw Jane on the street, I waved my hand to her.

文法的には間違っているように見えませんが、例えば、waveを英英で調べると、
to move your hand or arm from side to side in the air in order to attract attention, say hello, etc [OALD]
とあります。つまり、waveはすでに「手」の意味を含んでいるので、「手を振る」をwave my handとするとredundant(冗長)なのです。上記の英文だと..., I waved to[at] her.で十分なわけですね。

さて、このwaveという単語を他の英英辞典でも見てみましょう。
to raise your arm and move your hand from side to side in order to make someone notice you [LDCE]

to raise your hand and move it up and down or from side to side, for example to say hello or goodbye to someone who is not near you [Random house: Webster’s easy English dictionary]

to move your hand backwards and forwards [Chambers: primary dictionary]

Randomはノンネイティブ初級者用をターゲットとしており、Chambersは特に7歳以上対象のネイティブ用辞典です。
こうやって比較すると、一つの単語でもいろんな語義があって面白いですよね。

「英単語を英語で学ぶ」ことに興味のある方は、拙著「English脳で覚える英単語ハンドブック」(スリーエーネットワーク 中田達也監修・入江泉著)をぜひご活用ください。

ちなみに、本書ではwave(自動詞)は以下のように書いてあります。

[vi] You wave (= move your hand) when you say hello or goodbye to someone.
The man waved at me.
Wave to the children!
NOTE: You don’t need to say “wave my hand.” Wave includes “one’s hand,”

本書は上記のRandomChambersと同等、あるいはさらに易しい英語で、日本人学習者が読みやすいように書くことに努めました。


ネイティブチェックによるredundantの具体例はまたアップしたいと思います。

2012年11月16日金曜日

分詞の落とし穴2

分詞ネタは結構あります。こういうのはどうか。

This is the watch given to me by my sister.

このような英語をいつ、どんな場面で使うのか聞きたい。

日本語訳はこうである。
「これが姉からもらった腕時計です」

この訳は都合が良すぎます。なぜなら、この日本語訳を英語に直すと、
This is the watch I got from my sister.
であるはずだからです。

最初の文は直訳で「これが姉によって私に与えられた腕時計です」となりますが、この日本語が不自然であるのと同じくらいこの英語も不自然なのです。

なお、上記のような過去分詞の後置修飾でなく、I was given ... / This was given to me ... という単純なSVOOの受け身とはまた別問題です。過去の記事でも紹介しましたが、「Antiques Roadshow」という番組ではこれらが自然に使われていて興味深いです。
http://iwcnz.blogspot.co.nz/2012/05/blog-post.html