2012年4月29日日曜日

設問に使う日本語は最低限にしたい

最近では公立の高校入試ではストレートな和訳問題がほとんどなく,「正確に訳すことができる」という観点は昔ほど重視されていません。
とは言っても,読解問題の日本語記述問題では,本文中の該当箇所をほぼそのまま訳せば正解できるものが主流です。
例えば下線部の詳細を問う日本語記述問題で,本文該当箇所が下線部直前で,その部分の訳を書けば正解,という問題は最もシンプルです。該当箇所が複数あったり,該当箇所が長かったりで,要約しなければならないパターンはレベルが上がりますが,より自然な日本語で書くことになります。ただ,要約パターンであっても,中学レベルでは該当箇所を一旦訳して,指定の字数内にまとめるという(日本語の)作業が現実的かと想像されます。

一方,東京都の入試問題などでは,和訳問題はもちろん日本語記述がゼロで,解答は英語または記号です。日本語は設問の指示文中にのみに使用されています。こういう問題を校正するときは,「変な日本語」でひっかからないので,スムーズに進みます。

読解問題では日本語訳に関わらせない問題オンリーにするのは可能だと思います。
しかし,文法問題では日本語を使わずに…とはなかなかいかないようです。日本語を使うとしても,自然な日本語を使いたい。これがわたし自身のこだわりです。特に1年だと直訳の日本語ばかりなので,とても違和感ありますね。

整序作文の例です。

※次の日本語に合うように語を並べかえなさい。

1.私は私の友達と一緒に私の家でテレビを見ました。
 ( with / watched / I / TV / my / in / friend / my / house ).

答:I watched TV with my friend in my house.

ちょっと極端ですが,本当にあるんです。英文はいいですが,国語の先生が怒ってしまうのも無理ありません。
英文法を学ぶとき,英語を学ぶための特殊な日本語が存在するのです。
また,「整序作文では日本語がないと難しいから」という声が聞こえそうですが,せめて自然な日本語になる英文チョイスをしたいものです。

次の例はどうでしょう。

2.今日,私にはすべきことがたくさんあります。
 ( to / many / have / do / things / I ) today.

答えは
I have many things to do
ですね。
しかし,英文だけを見ると,I have to do many things (today.)も正しいわけです。このように書いた人は,「正確な英語が書ける」のに,日本語を注意深く見なかったミスで不正解になってしまうのです。

変な日本語を読ませたり書かせたり,また,日本語の理解不足で解答に影響するのは,語学学習とずれている気がします。
英語は英語で学ぶとべきと思い始めて以来,このような問題がとても気になっています。それ以来,設問に使う日本語は最低限にしています。紙面の見た目は英語ばかりですが,記号解答も使うので,問題自体が極端に難しくなることはありません。
見た目が英語ばかりだと生徒がやる気にならない!? じゃあ,イラストを使いましょう。と言いたいところですが,今度は予算が…ですね。

2012年4月28日土曜日

Could you give me ~?の使い方

Could you give me?も検索の多いフレーズの一つです。以下は,拙著「魔法の英会話」Jリサーチ出版(共著)執筆の際に,イギリス人のネイティブチェッカーと討論したときのものです。

レストランで,客からウェイターへのせりふとして典型的に見られるこの一句。
Could you give me some water?

Comment
Unnatural.

理由(ネイティブの代弁):
Could you ~?はとても丁寧な表現ですが,give meはとてもストレートな表現です。よって,Could yougive meがマッチしません。

Improvement:
May I have some water?

以下は,上記についてのオーストラリア人のコメントです。
You're right about the tone of particular phrases/words and the importance matching these. Of course, we should be saying, “May I have a glass of water?”

補足:
もちろん,Could you give me ?という表現はどれも不自然ということではありません。相手や場面によります。敢えて自然な例を挙げると・・・
Could you give me a hand?
Could you give me a minute?
Could you give me your phone number?
Could you give me a receipt for it?
Could you give me some advice on
?
Could you give me an example?

さて,丁寧度について補足します。
May I ?Can I ?よりも丁寧」
Could you ?Can you ?よりも丁寧」
という単純な解説が一般的ですが,May I ?はかなり丁寧なので,友人同士で使うとやや丁寧すぎる感があり,少し親しい仲程度でもMay I ?を使うとよそよそしい感じや皮肉にもとれるかもしれません。特にアメリカ英語では使わないようです。(アメリカ人スタッフによると,Shall I ? / Shall we ?も丁寧すぎてあまり使わない)

一方,Could you ?は丁寧とは言いつつも,親しい友人同士,兄弟,親子,誰にでも自然に使える表現なので,初級者はCan you?を忘れてCould you?だけを覚えても問題ないくらいです。NZでも,母親が自分の子ども(幼児も)に使っているのをよく聞きます。
言い換えると,Could you ?の日本語訳は常に「~していただけませんか」というような改まったニュアンスではなく,親しい間柄の発言ではカジュアルな訳が合うでしょう。

また,私見ですが,アメリカ人は時として丁寧すぎる表現を嫌うようですが,英語を外国語として使う身としては,ラフな表現・態度よりも,多少丁寧すぎるくらいなほうがいいはずです。

2012年4月27日金曜日

「いつまでに?」の表し方

「いつまでに?」という締め切りのたずね方,答え方をいくつかのパターンでネイティブに確認してもらったときのものです。
紫字がネイティブ(オーストラリア人)によるものです。

1. When do you need it by? [Correct.]

2. A: When do I have to finish this? [Correct, although Americanised. “When do I have to finish this by?” is traditional English.]
  B: By this weekend. [Correct.]

3. A: When do I have to finish this by? [Correct.]
  B: This weekend. / Tomorrow morning. / Next Monday. / By next Monday. / In one hour.
[Responding to the question with “By next Monday” is the best English, since you’re really saying, “You have to finish it by next Monday.”
Omitting the ‘by’ is not wrong, but sounds a tad clumsy to my ears.
“In one hour” is correct, because the listener does not need to be alerted to the change in logic. However, it would be better to say, “Give it to me in one hour.”]

Americanaisedとありあますが,
How long are you going to stay?に対するFor two weeks. / Two weeks.
また,
The festival lasts three days. vs. The festival lasts for three days.
のような,前置詞forの省略もA.E.の特徴のようです。

なお,By when do you need it? のような,〈前置詞+疑問詞~?〉の形も文法書などで見かけますが,実際の日常会話では堅すぎると思います。

2012年4月25日水曜日

What kind of ~?の使い方

早速ですが,最も検索の多いネタがコチラです。

1.What kind of cars do you like?
2.What kinds of cars do you like?
3.What kind of car does he have?

どれも正解です。違いは文脈によります。
1.文脈から,相手の返事が1種類だと予測している場合,kindは単数形です。
2.文脈から,相手は複数の種類を好きだろうと考えている場合,kindsは複数形です。ほかに,相手が車を販売しているなら,複数種を売っていると仮定して,What kinds of cars do you sell?となるでしょう。
3.通常,個人は1車(1種類)を所有・運転すると考えるとkindcarも単数形です。「彼」が車を2台以上所有している前提なら,What kind(s) of cars does he have?となるでしょう。

同様に,movieで見てみます。

4.What kind of movies do you like? / What kind of movies do you often see?
5.What kinds of movies do you like? / What kinds of movies do you often see?
6.What kind of movie did you see?

4と5の違いは上の1,2と同じです。~do you see?は,相手に好みを聞くのと同様,ジェネラルな話(習慣)です。
6は,実際に見た特定の(1つの,1種の)映画の話なので,kindmovieも単数形です。過去時制で,ジェネラルな話ではありません。

ということで,時制がポイントとなります。現在時制はジェネラルな話で使う時制で,過去や未来と状況が異なります。

未来時制の例も見てみます。
What kind of car are you going to buy?
今から購入する車は1車・1種という前提で,どちらも単数形です。

A: I'm going to buy a car.
B: Really? What kind? / What kind is it? / What kind of car is it?

なお,*What kinds of car do you like? のような,kindsと可算名詞・単数形の組み合わせは存在しません。

2012年4月19日木曜日

ご挨拶

ブログ「使える英語のツボ」へようこそ!!

本ブログは,わたくしが2007年7月のNZ移住時から書き綴っていたブログ「From New Zealand」から,英語ネタのみを独立させたものです。

内容は,主に初級~中級英語で,日本人共通の間違いを紹介したり,よく質問のある文法・語法について独自の解説をしたり,日本人独特の不自然な英語,ネイティブチェックの指摘などをご紹介したりします。

「たかが初級英語,されど初級英語」。簡単な英語ほど奥が深いのです。
ありふれたネタや解説ではなく,英語ができる人でも「ほぉ~」と思える内容にこだわりたいと思います。

まずは,From New Zealandに書いた英語に関する記事のなかで,特に検索でよく引っかかているネタを再編集しつつ,新しいネタをどんどん提供していきたいと思います。

どうぞ,よろしくお願いいたします!

P.S.
ニュージーランドの生活ネタにご興味のある方は,From New Zealandも覗いてみてください。