2012年11月16日金曜日

分詞の落とし穴2

分詞ネタは結構あります。こういうのはどうか。

This is the watch given to me by my sister.

このような英語をいつ、どんな場面で使うのか聞きたい。

日本語訳はこうである。
「これが姉からもらった腕時計です」

この訳は都合が良すぎます。なぜなら、この日本語訳を英語に直すと、
This is the watch I got from my sister.
であるはずだからです。

最初の文は直訳で「これが姉によって私に与えられた腕時計です」となりますが、この日本語が不自然であるのと同じくらいこの英語も不自然なのです。

なお、上記のような過去分詞の後置修飾でなく、I was given ... / This was given to me ... という単純なSVOOの受け身とはまた別問題です。過去の記事でも紹介しましたが、「Antiques Roadshow」という番組ではこれらが自然に使われていて興味深いです。
http://iwcnz.blogspot.co.nz/2012/05/blog-post.html

分詞の落とし穴

日本人が苦手な文法の一つに「現在分詞・過去分詞」があります。これはある固定観念に縛られているからかも知れません。まずは、後置修飾で見てみます。

【分詞の後置修飾の意味】
〈名詞+現在分詞+語句〉は「~している…」
〈名詞+過去分詞+語句〉は「~された…」

ほとんどの教科書・教材がこうなっていると思います。しかし、実際はそんな単純ではありません。

「名詞+現在分詞+語句」は常に進行形「(今)~している」の意味ではないのです。いつも言いますが、「文脈」次第です。たとえば、

the boy singing over thereだと、the boy who is singing over there「(今一時的に)向こうで歌っている少年」で「現在進行形」ですが、

the animals living in the seaは、the animals that live in the sea「海に住む動物」です。「今一時的に海に住んでいる動物」では意味が変です。

同観点が前置修飾でも生きてきます。
the singing birdthe bird that is singing「(一時的に)歌っている鳥」ではなく、the bird that sings「鳴き鳥」なのです。(日常生活でsinging birdという語句を使う機会はあまりないと思いますが…)

現在分詞=「~している」と思いこんでいるために、また、the singing birdという表現があるなら*the singing children「歌っている子どもたち」もいいんだろう、と思ってしまうのですね。


次に、過去分詞も、実は常に受け身「~された、~されている」の意味とは限らないのです。たとえば、以下のような前置修飾がわかりやすいかもしれません。

fallen leavesleaves that have fallenで「落ちてしまった葉=落ち葉」ですね。fallenは受け身ではなく完了の過去分詞なのです。

ちなみに、falling leavesleaves that are fallingで「(今まさに)舞い落ちている葉」ですね。

2012年11月13日火曜日

英語を話したい人は「ライティング」をすべし。

たまには、わたしの持論を一つ。

「英語を話せるようになりたい」という人は多いと思いますが、「会話をする」環境にないことも多いと思います。そういう方は、ひたすらライティングの練習をするべきです。

「正しい英文を書ける人は自分の言いたいことを伝えられる」
「その前提で、『話す』はひたすら場数を踏むのみ」
というのがわたしの持論。

単に英語で日常会話がしたいのであれば、多少発音が悪くてもいいのです。正しい英文を書く人は、たとえ「話す」ときに辞書を引けなくても、たとえ「話す」という行為が瞬発的なものであっても、ある程度正確な文構造で、自然なコロケーションを使って話しているはずなのです。極端に言えば、相手が聞き取れない単語が多少あったとしても、正しい文構造や文脈で相手の理解を助けているのです。さらに、話している最中に、伝えたい言葉の英単語を思い出せなくても、全く見当がつかなくても、あるいは万一相手に伝わらなかったときでも、英文を書ける人(=英文を作ることのできる人)は、別の表現で言い換えられる技術を持っているのです。

ただし、ライティングの練習は、書きっぱなしではダメです。必ず英作文のプロやネイティブ校正者の添削を受けること。その添削過程で自然な文法、自然な単語・熟語の使い方、コロケーションをどんどん吸収していくのです。

進め方を考えてみますと、文法に焦点を当てたらこんな感じでしょうか。
例:「3~5文の英文を書きましょう。ただし、受け身の文を含めること」
なぜ1文でないかは、受け身の文が自然かどうかを判断する「文脈」が必要だからです。この課題だと、まずは自分なりに自然な受け身の文を1文考えて、そのあと前後に文脈をつけてみるとよいです。形式は地の文でも対話文でも構いませんが、対話文のほうが英語を「話す」練習になっていいかもしれません。

例:Aさんが考えた受け身の文:The shop is opened 24 hours.
文脈つきの文章
A: I’m hungry.
B: Me, too. Let’s go to the convenience store and get something to eat. It’s opened 24 hours.
A: Good idea.

はい、添削者はきっとIt’s open 24 hours.と直すでしょう。中学英語教材の受け身の事項で本当によくある不自然な受け身の文を利用してみました。

なお、表現に突っ込むと、「英語が話せるようになりたい人」と「英語で会話ができるようになりたい人」は異なります。なぜなら、後者は「聞きとり」が必須だからです。当然なのですが、相手の言うことが聞き取れないと「会話」はできません。正しい英文が書けて相手に言いたいことが伝えられることと、会話ができることは別問題です。

読む、書く、聞く、話す、の四技能で一番難しいのは「書く」だと思います。これをマスターしたら、怖いものなし!


追記:
持論というからには…

わたしの場合、5年間英語圏に住みましたが、留学経験がなく、いきなり海外生活スタートです。学校に通ったわけでもなく、地元の企業に勤めたわけでもなく、平日は自宅(仕事)でほとんど外出しなかったので、いわゆる場数はそんなに踏んでいません(それでも英語に触れる環境は日本の生活と雲泥の差ですが)。よって、残念ながら、自信を持って「会話力」があるとは言えません。四技能の中で一番苦手なのが「リスニング」というタイプです。

ですが、仕事上、ひたすら英語を書く環境にあるために、会話で「あなたの言っていることがわからない」と言われたことは一度もありません。語彙レベルも、英検でいうと準2級レベルほどの語彙しか使っていないと思います。
ただし、英検準2級レベルの語彙で正確な英文を書くのはそんなに易しいことではありません。訓練が必要です。

2012年11月6日火曜日

関係代名詞を使った書きかえの落とし穴

関係代名詞はひと言で説明できない文法の一つですが、よくあるこんな書きかえ問題から考えてみます。

問い:次の2文を、関係代名詞を使って1文で表しなさい。
I have a dog. It can run fast.

解答:I have a dog which [that] can run fast.

最初の2文を見ると、I have a dog.と文が完結していますので、Iは犬を1匹しか飼っていないんだな、と頭にインプットされます。しかし、解答の文を見ると、あれ?と感じるわけです。なぜなら、関係代名詞の制限用法だと、Iは2匹以上の犬を飼っていると捉えるからです。

よって、
I have a dog. It can run fast.
同意の2文を1文で表せという問いなら、
I have a dog, which can run fast.
となるはずなのです。(非制限用法ではthatは使えません)

また、いろんな関係代名詞の問題を見ていますと、先行詞の冠詞はaでもtheでもよいと曖昧に思っている人が多いと感じざるを得ませんが、極端に言えばコンマの有無よりも重要だと思います。会話ではコンマは発音しませんし、aとtheの違いの感覚を身につけたいものです。

2012年11月2日金曜日

underは「~未満」?

more than ~を取り上げた機会に、意外な面を持つunderにも触れたいと思います。

underは和英辞書には「〈年齢・時間・価格・数量などが〉~以下の、~未満の」とあります。
辞書によっては「~未満」しか載っていないようです。

いずれにしても、先のmore than ~の例の通り、「~以下」と「~未満」では大きな違いが生じる可能性があります。

通常、〈年齢〉においては、「~未満」の意味、つまりunderの後の年齢を含みません。

例:
Children under six must not take this medicine.
「6歳未満の子どもはこの薬を飲んではいけません」

「6歳以下」は6 and under6 or youngerのように表すことができます。

 

しかし!!

『スポーツ』では、〈under+年齢〉は「~歳以下」が通例なのです。

たとえば、サッカーのFIFA U-20 World Cup は「20歳未満」ではなく、「20歳以下」ですね。(Uunder を表す)

奥が深いです。