2012年5月18日金曜日

生の英語「to不定詞の形容詞用法」

看板から学ぶ生の英語,第2弾。

ロトルアのRainbow Springsにて。キウイの保護施設があります。


中学英語だとmore things to see and doとしがちですが,more to ~としているところがネイティブらしい表現と言えそうです。

2012年5月14日月曜日

お勧めの受動態のリスニング素材

無生物主語つながりで,一つ思い出しました。

わたしのお気に入りのテレビ番組にAntiques Roadshowというイギリスの番組があるのですが,日本の「なんでも鑑定団」に似ていて,鑑定士がイギリスの各地をまわり,地元の人が骨董品を持ち寄って鑑定してもらいます。
がらくたもあれば非常に価値のあるアンティークもあり,会話の最後の鑑定士による推定の値付けがドキドキし,それを聞いた所有者の反応も面白いです。

この番組が好きな理由は,イギリスののどかな風景やイギリス英語が楽しめると同時に,「受動態」がふんだんに聞けることです。
会話は鑑定士と骨董品の所有者との間で交わされますが,「物」が主体なので,必然的に無生物主語の受動態の文が多く,It was given to me ... やI was given ... など,普段の日常会話では滅多に使われない表現まで堪能でき(日本の英語教材ではよく不自然に使われますが・・・),受動態のリスニング素材としてとてもよいと思います。

レベルはTOEICでいうと800以上と推定しますが,画面に出てるオブジェクトについてひたすら話しているので,トピックすら推測できないという事態はありません。また,家族の説明や日本を含む世界各国の歴史など,会話の内容はある程度決まっているので,ほどよく推測ができるのも良い点だと思います。

生の英語「make OC」

中学校で習う文法の一つに〈make+O+形容詞〉「Oを~にする」があります。
この手の無生物主語の表現は日本語にはあまりないからか,日本人が書くと「むりやり英語」が多い気がします。

生の英語を見てみましょう。下記看板では,中学校でもお馴染みのmake O sickが使われています。
(Jennyというのは檻の中にいるKeaというニュージーランド鳥の名前です)


なお,拙著「English脳で覚える英単語ハンドブック」では,実際に各単語がどのように使われているかを見てもらうべく,このような看板の写真を多く載せています。ご興味があればぜひご覧ください。

2012年5月7日月曜日

〈a+単数名詞〉か〈any+複数名詞〉か?

前回のanyを発展させてみます。

「~はありますか」の表現は〈a+単数名詞〉なのか〈any+複数名詞〉なのか?

前回のポイントで分かる通り,日本語には名詞の単複がないので,日本語には「1つ」とか「いくつか」などと現れません。ですので,〈a+単数名詞〉と〈any+複数名詞〉は一見使い分けが難しいように思えますが,常に同意で置き換えられるものではないのです。あくまで話者の予測や場面状況によって単数か複数かをイメージして使い分けているのです。

例えば,「お子さんはいますか」と尋ねるとき,
Do you have a child?
なのか,
Do you have any children?
なのか?
ふつうは後者です。理由は前回述べた理屈と同じで,前者は相手には子どもがいるとしても1人だろうという気持ちから出る英文なので,ある程度の条件がない限りはやや不自然な感じです。
もちろん,Do you have any children?と尋ねて単数で答えても不自然ではありません。
例:Yes, I have a son. [=a child]

同様に,「兄弟はいますか」はほぼ成句でDo you have any brothers or sisters?と言いますが,Do you have a brother or a sister?ではないのも上記の理由からです。

次に,「週末は予定がありますか」だとどうでしょう。
Do you have a plan for this weekend?
ではなく,計画は複数あると見なして,ふつうは
Do you have any plans for this weekend?と聞きます。
前回の引き続きですが,これも日本語訳で「週末はいくつか予定がありますか」と,anyを「いくつか」と訳出しているのを見かけますが,ふつうはany plansと複数で表すので,日本語では複数を強調する必要はなく,「週末は(何か)予定がありますか」で十分なのです。

There is/are ~構文でも同じです。

「この辺りにレストランはありますか」を英語で表すと?

ふつうは複数軒あると期待して,
Are there any restaurants around here?です。

でも,周りにレストランがなさそうな様子だと,1軒でもあればいいなという思いを込めて,
Is there a restaurant around here?
と単数で言うかもしれません。
(逆に,明らかに何もなさそうな田舎でany restaurants と聞くと,皮肉になるかも?!)

「この辺りによいレストランはありますか」でも同様です。
Are there any good restaurants around here?
だと複数あるだろうと期待する気持ちが伺えますが,
Is there a good restaurant around here?
だと,よいレストランはあったとしても1軒だろう,というように聞こえます。

一方,「この近くに郵便局はありますか」だとどうでしょう?
郵便局は1箇所のエリアに1軒がふつうなので,
Are there any post offices near here?ではなくIs there a post office near here?となるでしょう。

any/someの不自然な訳

中学ではanyの意味としてたいてい「(疑問文・否定文で)いくつか(の),いくらか(の)」などと習うようですが,文全体の訳になると違和感があることがとても多いです。
教科書によっては巻末リストに「訳さないことも多い」と書いてあるのですが,特に中1教材で,100%これを訳出する傾向にあるのです。中1レベルでは,問題中で日本語と英語を並列する際,日英で1語1語対応して示さなければ難しいという暗黙の了解があるようですが,無理矢理に訳すと時に不具合もあるのです。

anyを「訳さないことも多い」典型的な例を見てみます。

Do you have any friends in Japan?

この文の訳が,たいてい「あなたは日本に友達が何人かいますか」「あなたは日本に何人かの友達がいますか」となっています。

anyを「何人か(の)」と訳出しているのですが,これが「訳さないことも多い」の例で,「あなたは日本に友達がいますか」で十分なのです。この〈any+名詞の複数形〉は,特に複数を意図しているものではないからです。
理由は,逆に「あなたは日本に友達がいますか」を英文に直すとどうなるか,考えてみましょう。

Do you have a friend in Japan?

でしょうか。この文はなんだか変な感じがします。なぜなら,a friendと単数にすると,相手には「友達が1人しかいない」と決めつけて尋ねている感じがして,相手に失礼になります。友達は複数いるという期待のもと,"a friendではなく自然にany friendsになっている"だけで,これを「何人かの友達」と敢えて複数を強調する必要はないのです。


someや不可算名詞でも同様です。

Can I have some water?

この訳を,「お水をいくらかいただけますか」や「お水を少しいただけますか」などとsomeを訳出しているのをよく見かけますが,「お水をいただけますか」で十分です。なぜなら,waterは不可算名詞なので,aがついたり,複数形になったりしません。よって,"waterに不可欠な語として自然についたsome"であって,このsomeは分量を意図しているのではなく,「いくらかの」とか「少しの」などと分量を強調する必要はないのです。話者がもし分量を意図しているなら,Can I have a glass of water?Can I have a little water?などと具体的に示すはずなのです。