2013年5月13日月曜日

soonは「すぐに」?

一部の英和辞典にsoonの訳として「すぐに」があるのですが,これが原因なのか,soonの使い方やその和訳で違和感を覚えることがとても多いです。(文脈によります)

"Hurry!" "Sorry, I’ll come soon."「急いで」「ごめん,すぐに行くよ」の類です 。

つまり,日本語の「すぐ(に)」は「直ぐ」「直ちに」の意味のはずで,at once, immediately, right nowなどがより適切な英文&和訳が多いです。

英語の定義では,soonin or after a short timeとなっていますが,あくまでsoonは「もうすぐ,まもなく」(before long)のイメージだと思います。

at onceやimmediately(すぐに)ではなくsoon(もうすぐ)が適切な例で比較してみましょう。

"What time will she come? It's already three o'clock." "I think she will come soon." (= before long)


敢えてsoon=「すぐに」がふさわしい文を思い浮かべると…

I’ll call you as soon as possible.「できるだけ早く」(soonearlyの語義ですが,相手への気遣いで「できるだけ『直ぐに』」)

I’ll call you soon after I get there.「~したらすぐに」(afterのみでも成り立つところ,soonで「直ぐに」と強調)

You’ll get well very soon.(「今すぐにでも良くなって欲しい」との気持ちから)

あたりでしょうか。
いつも言いますが,英和辞典などの「単語」=「意味」の一辺倒では具合が悪いことが多く,なんでこの意味に固執しているんだろう?と辞典を見ると,なるほど・・・という例に多く出会います。
教科書の巻末リストの意味もしかりです。
辞典は上手に使いたいですね。紙面が限られているので,こんな文脈,こんな場面状況ではこの意味になる,なんて全部詳しく説明できませんから。

2013年5月10日金曜日

中学英語の長文書き下ろしの大変さ

中学英語用の長文を書き下ろしている人にとってはよく分かることですが,この作業の一番の難関は,「中学英語の文法の範囲で書かなければならない」という点です。「中学英語の語彙で書かなければならない」という点も大変ですが,「注釈」という武器があります。文法については,高校英文法のまま採用して注釈をつける,という対応は通常認められていません。

現在愛読中の,マーク・ピーターセン氏の「実践 日本人の英語」では,中学英語に関わる興味深いこと(批判)がいろいろ書かれています。その一つが,「なぜ仮定法が中学で習わないのか」。

そうなんですよね。仮定法を中学レベルに書き換えることはほぼ不可能なのです。たいていの場合,苦し紛れに(あるいは何の罪も感じず)普通の条件ifが使われています。間違いは間違いなので,私は意地でも話の流れをアレンジしたものですが,仮定法がメインのストーリーはお手上げです。逆に言うと,中学生は仮定法がメインのストーリーを体験できないということですね。

その他の典型的な例をいくつか。

I couldn’t believe what he said.の類。関係代名詞whatは中学では未習なので,たいていI couldn’t believe his words.となっています。この「誰かが言ったこと」を意味するwordsが教材や入試でどれほど頻繁に使われていることか。多くの場合,「彼の言葉に感動しました」のような「言葉」のつもりで使われていると推測できるのですが,やはりほとんどはwhat  ~ sayが自然な文です。

あと,「知覚動詞+目的語+分詞」系ですね。I heard him playing the guitar.の類です。I saw a dog walking in the park.なら,現在分詞の後置修飾(公園を歩いている犬を見た?)と捉えて許容,とする編集者もいるかも知れません。しかし,I heard him playing the guitar.では現在分詞の後置修飾という捉え方はできないので,やはり中学範囲外の文となります。そこで,I heard his guitar.なんて英文が生み出されるわけです。
これも仮定法並みに書き換えが苦しい部類です。I heard him singing.I heard his song.になっていたり。意味が変わっているし!

高校文法→中学文法という書き換えだけでなく,中1,2用の模試などで,高校入試問題の素材文をリライトした文章を見る機会もよくあります。レベル的に無理がありますね。

中学英文法範囲内でいかに自然な長文・対話文が書けるか。相当特殊な技術が必要です。

 

2013年5月5日日曜日

「生の英語」must&受け身

ニュージーランドで撮った写真から学ぶ「生の英語」。

日本人があまり自然に使えないmustと受け身。
この両方が使われている看板の写真を見つけました。




2013年5月1日水曜日

itとthatの使い分け&「もの」「こと」の表し方

いつも通り,中学レベルです。

日本語では同じ「それ」を意味する
itthat自然に使い分けられるかどうかは,ネイティブ感覚に近づいている指標の一つになるかもしれません。

大ざっぱに言うと,itは主に名詞を受け,thatはもう少し広い感覚です。

例えば相手が
How long are you here for?
と言い,さっぱり意味がわからずもう一度言ってほしければ,
Sorry, could you say that again?
と言えます。thatは相手の言ったこと全体を受けています。

同じく相手の言うことが理解できないときの定型表現によく
Could you say it again?
というのを見かけますが,上のシチュエーションではやはりちょっと変な感じがします。
どんな内容,あるいはどの部分が聞き取れなかったのかによってitthatはやはり使い分けるものだと思います。

他の例です。

A: I have a question.
B: What is it?

このita questionのことです。

A: Everything is going well, but I want to do something.
B: What’s that?

このthatsomethingではなく,want to do somethingを受けているイメージです。
英語のsomethingの使い方もポイントです。つまり,文意から,このI want to do somethingは,「(何でもいいから)何かしたいの」(「何かって何?」)でなく,「(実は)したいことがあるの」「そのしたいことって何?」「何がしたいの?」という感覚でしょうか。

一方,同じsomethingを使った

A: Can I ask you something?
B: Sure. What is it?
だと,thatでなくitです。itsomethingですが,一つ前のパターンでもわかる通り,somethinga questionというイメージです。


ちょうどよいので,somethingつながりです。
「~なもの」「~なこと」をどうしても「形容詞+thing」で表しがちな日本人。「-thing+形容詞」をもっと使いこなしたいですね。

「何か新しいことに挑戦したい」
I want to try a new thing.
  
I want to try something new.

「その広告で面白いものを見つけました」
I found an interesting thing in the advertisement.
  
I found something interesting in the advertisement.

somethingと使うことで相手の興味を引き起こす効果もあります。逆に,具体的に言うのを避けるときや,具体的に言う前の前置きにも使います。

Sorry, I can't go. I have something to do tomorrow.
I have something to tell you.


something以外の例です。

「クリスマスには何か特別なことをする予定ですか」
Are you going to do a special thing at Christmas?
  
Are you going to do anything special at Christmas?

a special thingだと特別なことが1つしかないと決めつけた質問になってしまうためにおかしな文です。anything specialだと数は限定されません。

「すべきことがたくさんあります」
I have a lot of things to do.
  
I have a lot to do.

「たかが中学英語,されど中学英語」です。

2013年4月24日水曜日

ライティングのできる人

 先日,フェイスブックでSW抜きのTOEIC満点より(ケンブリッジ英検)FCE保持者の方が「英語ができる人」だと言われて,大変嬉しく思うと同時に本当にそうだと思いました。
FCE試験はリーディング,リスニング,スピーキング,ライティング,文法に分かれていて総合で合否が決まります)

 資格でなく技能で言うと,やっぱり「(ある程度の長さの文章を)正しく書ける人」がいちばん信頼できます。結局,正しく書くには語彙・文法を正しく"使う"ことができないといけないし,正しく書ける人は,読むこともできるはずで,発音はどうであれ,ある程度話せる(自分の伝えたいことは表現できる)はずだからです。

 一方,「話す」ことができても「聞く」ことができなければ当然会話はできません。つまり,英語が書ける人が"会話"ができるかどうかは,「聞く」力次第でしょう。いずれにしても,語学学習の最重要・最終目標はやはりライティングというのが持論です。

 四技能バランスよくと言うけれど,そんな簡単な話ではないと思います。少なくとも,信頼おける添削者による指導でライティングの練習をすれば,必ず語彙力・文法力も同時に伸びます。(ただし,下線部が難しい問題か…)

2013年4月23日火曜日

超基本のNice to meet you.の使い方がおかしい?

中学1年の超基本の会話表現:Nice to meet you.

これを使う正しいシチュエーションがわかっている人,厳しく直すネイティブスピーカーは意外と少ないのかも知れません。

たとえばこんな会話。

A: Excuse me. Could you tell me how to get to the station?
B: Oh, I’m going there, too. Let’s go together.
A: Thanks.
B: My name is Kayo. Nice to meet you.
A: I’m Ben. Nice to meet you, too. Are you a student, Kayo?
B: Yes, I am.
 ・
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道を聞かれて一緒に駅へ行くという,まあよくある(教材用)場面です。高校入試でも見かけます。

KayoBenは初めて会ったので,「はじめまして」というわけですね。でも,このシチュエーションでNice to meet you.はおかしいのです。

そもそも日本人同士の場面に置き換えると,名前は名乗らんだろう,というツッコミもあるでしょうが(笑),そこは教材用と割り切ったとしても,ここで「はじめまして」とは言いません。さらに,本来の意味「あなたにお会いできて嬉しいです」と考えると,ますますおかしな会話です。

つまり,Nice to meet you.
は前もって知っていた人や噂に聞いていた人,約束をしていた初対面の人,パーティーで友人の家族を紹介されたとき,そして中1の教科書冒頭のような,新学期で初めて会う英語の先生やクラスメートのような,出会うことが決まっていた人などに対して適切な表現なのです。ですので,上記のような,会う予定でなかった突然の出会いでNice to meet you.はおかしいのです。

2013年4月16日火曜日

文法用語に惑わされるな。(分詞)

文法用語が混乱させている別の例が「分詞」です。

中学で正式に過去分詞・現在分詞という用語を使うのはたいてい3年の後置修飾のところですが,ここで過去分詞=「過去」,現在分詞=「現在」という時制のイメージをもってしまうと具合が悪いです。

過去分詞は現在完了や受け身で使いますが,受け身(
be動詞+過去分詞)は「過去」という時制と無関係です。

現在分詞についても,現在進行形(be動詞・現在+現在分詞)は確かに「現在」のことですが,過去進行形(be動詞・過去+現在分詞)は当然,「現在」でなく「過去」のことです。

こういう初期のイメージが,いつも言うところの,*Do you see that sleeping boy?「あの眠っている少年が見えますか」といった文を作ってしまう原因の一つだと思います。

中学レベルでは「現在分詞」なんて言わず,「動名詞」とともに「(動詞の)~ing形」で通すほうがまだいいのかも知れませんね。